いつも何度でも―木村弓

かなしみの数を 言い尽くすより
同じくちびるで そっとうたおう

こなごなに砕かれた 鏡の上にも
新しい景色が 映される

家はあるし


転勤はないし


人のお金で施設に入れたし


扶養義務者はいないし


無理しなくていいし


恵まれていないこともない。