読書の春

なんとなく「八つ墓村」を読みたくなって図書館に借りに行く。すると海外文庫の棚にちょっと気になる本を発見。なんでハヤカワなのにラノベ表紙やねんな…。タイトルは「ようこそ女たちの王国へ」。

舞台は極端に女性の多い世界。女王が統治し、女性が労働を担い、家母長的家族を形成している。男性は貴重な財産と見なされ気安く人前にも出られず家の中で家事ばかり、姉妹が1人の夫を共有する形の一夫多妻制で、男子は年頃になるとよその家に嫁いで(売られて)行く。主人公の青年ジェリンがある日助けた女性が実は王女、これがきっかけでその姉である王女と相思相愛の仲になり、身分違いの恋かと思いきや実はジェリンは王族の血を引いていて…

と設定だけ並べると「どこのキモオタの妄想だよっ!!」と突っ込みたくなりますが、なんとアメリカの女流作家の作だというからビックリ。ただしマンガアニメ大好きな方だそうです。

大筋のストーリーはジェリンと王女がなんとかして結ばれようとするところへ王座を奪取しようとする輩が蠢いて…、てなかんじ。訳がイマイチな事を除けばかなり楽しめました。自分で買って本棚に置いてもいいかなと。ジェリンよりも彼の一番上の姉がめっちゃ頼もしくてかっこよかった。訳が下手とは言いましたが、原題"A brother's price"を「ようこそ女たちの王国へ」としたのはなかなか良かったんじゃないでしょうか。


八つ墓村」も久方ぶりの再読。確か前に読んだのは3年くらい前で、犯人誰だっけ、ていうかどんな殺人方法だっけ、たしか「祟りじゃ〜!!」とか叫ぶ婆さまが出てきて、双子の婆さまが出てくるけど途中で片方が洞窟の中で殺されて、主人公が洞窟でニャンニャンしてそれで妊娠したことを告げられたシーンで幕切れで、てな感じ。
こないだから気になってもやもやしていたのが、ようやく晴れてすっきりしました。なお「祟りじゃ〜!!」と叫ぶのは映画だけで、原作ではそんな台詞はありません。

ところで金田一耕助シリーズは半分くらい読んでますが、トリックや被害者始め関係人物がほとんど記憶に残ってないのはなぜなんでしょう?

えーと、

  • 「気違い」と「季違い」を引っかけたのが「獄門島
  • 指を欠いた人がラストシーンで笛を吹くのが「悪魔が来たりて笛を吹く
  • 琴の弦や琴柱で凶器をピタゴラスイッチしたのが「本陣殺人事件」
  • 白マスクと水中逆立ちしか印象に残らない「犬神家の一族
  • 美女の死体が蝋人形と合体してステージに登場するのが「悪魔の寵児」
  • 総社だか清音だかの宿屋で若い衆と桃を食べてたのはなんでしたっけ

とまあこんな具合。

金田一耕助は名探偵と言われながら片っ端から殺されてしまうともっぱらの評判ですが、いくつかシリーズを読むとそれもやむなし。だって横溝先生はミステリーを書きたいんじゃなくて芸術的な殺人シーンを書きたいんですもの、きっと。そうじゃなかったら水中逆立ちなんてさせないでしょ。


ところでハヤカワのラノベといえば、「星界の戦旗」シリーズの続きはいつまで待てばよいのでしょう?