入院体験記その3:手術の話(後編)

昨日の続き。検査も済んで手術台に乗せられた|t>に次なる試練が襲い掛かる!とでも煽っておきましょうか。
電極をつけられたりしてると、例の内科医長さんが太めの注射器を取り出すのが見えてさすがに平静ではいられず、

t> 「それ、何の注射です?」

医者 「局部麻酔だよ。カテーテル入れるのに痛くないように。」

t> 「え、全身麻酔でするんじゃないんですか?」

医者 「ううん、局部麻酔。」

てっきり眠ってさえいればすべては終わると思ってたのに。そういうことは先に言おうよ。
チクッと痛みが走って麻酔完了。まあこれで痛いのも終わりだし…と思ってるところにカテーテル登場。「こんなに長い管が体に入るんだなあと思ってられるのも局部麻酔のおかげか。」なんて思ってると、

医者 「はーい、それじゃカテーテル入るよー。」

t> 「あ、はい…あだだだ!

医者 「あ、今のは痛かったねー。」

麻酔がまだ十分効いてなかったのか、痛くないと思ってたのに鉛筆のお尻でグリグリされるような強烈な痛みが!「このヤブ!」と心で叫んだ最初の瞬間でした。
このあとは別段カテーテルを抜き差ししても鉛筆のお尻が当たってるような違和感はあったものの痛いということはありませんでしたけど、カテーテルが入ってくる感覚と言うのは実に名状しがたいもので、何か細いもので体の中を突き上げられてるような変な感触がするんですよ。体内には痛覚神経とか触覚とかは無いはずなんですけどね。体の上に覆い被さるX線撮像機でカテーテルが通ってくるのが見えるのも、物珍しくはあってもあんまり気持ちのいいものじゃありませんでしたね。
なんともいわれぬ嫌な感覚をこらえていると、

「あれー、うまいこと心臓に届かんなあ。」
「ちょっと先っちょがへたってるみたいだから新しいの入れなおそうか。」
「うーん、もうちょっとで心臓に届くのにねえ。」

と聞きたくも無い独り言の連発。聞こえるたびに「このヤブ!」「このヤブ!」って心の中で叫んでました。
そうこうしているうちに手間取りながらもなんとかうまいこと心臓にたどり着いたようです。でパルスを送ってみたわけですが、なぜか治らない

医者 「あれー?取れんかあ。もいっかいやってみよう。」
(|t>心の叫び 「このヤブ!」)
医者 「うーん、電気はうまいことのってるのになあ。」
(|t>心の叫び 「このヤブ!」)
医者 「あかんかあ。」
(|t>心の叫び 「このヤブ!」)

何度繰り返しても治らない。もう不信感ばりばり。

医者 「|t>さん、オーバードライブじゃどうしても治らないんでね、やっぱり電気ショックで行きますから。」

t> 「…はあ。」

じゃあやっぱりはじめからそうしてれば良かったんじゃないのよさ。
そして点滴に全身麻酔が注入されはじめます。

看護婦 「|t>さん、1から順番にゆっくり数えていってくださいね。」

t> 「はーい。いーち、にーい、(略)さんじゅう。…これって、普通の人は幾つぐらいで眠たくなるものなんですか?」

看護婦 「人によりますねー。じゃあもう一回1から数えていってね。」

t> 「えー、せっかく30まで数えたのに。いーち、にーい…。」

14を数えたあたりで意識が遠のき始めて、多分17を数えたあたりで意識を失ったと思います。全身麻酔って面白いですね。いつも寝るときと違って、意識が遠ざかっていくのを自覚してるんですよ。意識が遠ざかりながら「あー、麻酔が効いてきたのね…。」とかよしなしごとを考えてられるくらい。

さて、麻酔が薄れてきて段々目が覚めてきました。

看護婦 「|t>さーん、聞こえますかー?」

t> 「…はーい。…今何時くらいですか?」

看護婦 「えーと、4時くらい。」

麻酔から覚めて第一声が「今何時?」というのも気の抜ける話です。それからはしばらくまだどこかしらぼんやりしながらあれこれ問答をしていたような。
とにもかくにも手術は終了、見事不整脈も退治されたのでありました。