スーツの話

1ヶ月ほど前に妹とあったときのお話。妹は昔バレーボールをやってたせいなのか、肩幅が広いらしくて合うスーツを探すのに苦労する、とかそんな話をしてたんです。
確かにこれだけ女性の社会進出が叫ばれる中でも、女性用のスーツを大々的に取り扱うお店は紳士服店に比べると全然目にしないように思います。一方で紳士服業界は団塊世代の大量退職を前に、市場の縮小に備えた業界再編に忙しい様子。だったら女性用のスーツを供給できる体制を整えたら良いんじゃないのかなあ、と思ったりするわけです。いつまでも「紳士服」にこだわらなくてもいいと思うんですけどね。ああ、でも男性よりは女性のほうが体型の差異の幅が大きいから大量生産が難しいんでしょうか?あるいは私が思うほどには市場が狭いとか?はてさて。
ところで、スーツ業界の興亡の影で今正に消えつつある職業が存在します。「テーラー」、いわゆる「仕立て屋さん」です。
先日ちょっとしたきっかけで仕立て屋さんとお話する機会があったんですが、その方が50歳と少し。ところがその方がこの一帯で一番お若いんだそうで、若い職人さんが入らないんだとか。テーラーもまた職人芸で、10年修行してようやく商品として堪えうるものを仕立てられるんだけれど、その間給料は出ないし、最近は仕立てでスーツを作る人はめっきり減ってしまって、新しい人を養って鍛え上げるだけの余裕も少ないし、2,30年したらもう「テーラー」は日本から姿を消すだろう、とさみしいことをおっしゃってました。
工学系を専攻していると、こうした産業の引導を渡す手助けをしているような気がして、なんだか気がとがめるようです。