風が吹いていますか

風立ちぬ」を見ました。
レイトショーだっていうのに、夏休みの上にまだお盆休みの人有り高校生割引き有りで映画館は人でごった返していました。
見終わって、色々つらつらと思うことが止まらないので書き散らしてみます。

まず庵野秀明監督が声を当てたことについて、やっぱりシロート演技なんだけれどだいぶ良い感じにやりきってるやん、と思いました。全体に無声のシーンをちりばめたりする演出やキャラクターの性格もあり、いかにもジブリっぽく出来上がってるんじゃないかなとも。

全編通しての印象は「なんとなくメロドラマっぽいなあ」というところ。菜穂子の最期は久しぶりに鮮烈な印象を残しました。ああいう演出は2次元3次元問わずめったに見られないというか、あの時代を描く作品に特有のものになりましたですね。

時代といえば、自分の爺様(父方)と婆様(母方)を思い起こします。なにせこの2人は主人公達と同世代か年上ですから。
私が生まれたときに父方の祖母と母方の祖父は既に亡く、父方の爺様も2004年に他界。
爺様は何度か戦争に行っていたときのことを話してくれました。おぼろに記憶をたどると中国大陸で補給部隊か工兵部隊にいたようなことを言っていたかと思います。
忘れられないのはこんなエピソード。

「ワシの小指はちょっと薬指から離れちょるから、敬礼の時『貴様なにをたるんどるか!』とよう殴られてなあ。」

同じく小指が薬指から離れ気味のわたしの手を見ながら話してくれました。


母方の婆様はたびたびときど記に登場しますが、明治生まれの筋金入りの年寄りだけに昔話はもはや私達にとっては歴史の範疇。
田舎の豪農の7番目か8番目の娘に生まれ、当時としては遅い23,4歳で後添えとして嫁入り。直ぐに満州に渡ります。

「あの頃は日本人はみな羽振りがよかった。満州で日本人に悪さをしよういうもんはおらなんだで。」
「うちもボーイさんがおってな。ええ家に住んどったんで。」
「帰ってくるときに財産はみな取られてしもうた。」

NHK連続テレビ小説「うめちゃん先生」や「おひさま」をみて、「私も女学校にいきよったころはあんなじゃったなあ。」といっちゃうそんなひと。
パラレルワールドなフィクションで恐縮ですが、サクラ大戦のアイリスなんかと同世代と思うと衝撃的です。

スクリーンにあふれる戦前の習慣や作法、建物の佇まいに思いをやる度、本当に生活の中でそうしていた人たちと実際にふれあったのも私の世代昭和50年代生まれがほぼ最後になるのかなあと思います。
蚊帳を吊ったり寝る前に雨戸を立てたりジーコロコロの電話を掛けたり、「ワタシしたことあるよ、フフン♪」みたいにレアイベントとしてステータスになってきたような気がしますね。実際したことありますけどー、フフン♪

なんかとりとめが無くなってきたところで、脳みその暴走も落ち着いてきたのでこの辺でお開き。それでは。