映画の話

しばらく見てなかった映画を、またドタドタとまとめてみているので感想。
邦画はダメじゃな…。


・いつだってやめられる 7人の危ない教授たち
・いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち
イタリア発のクライムコメディ。ただ今続編かつ最終話を制作中だそう。
優れた学才を持ちながら報われない男たちが金を得るために悪に手を染めるというのが大筋。
犯罪ものなんですけども、全編通してイタリアらしい陽気で明るいテイストでリズムよく話が進むのでかなり楽しめる作品。
そうそう、映画ってこういうしょうもないお笑いでいいんだよって感じ。
「ホントにイタリア人って大げさに身振り手振りしながらじゃないとしゃべれないんだなあ」と割とどうでもいいようなことも思いました。
あと全編通してあまりにもカジュアルに"vaffanculo"という言葉が使われるので、その気はないのに覚えてしまいました。
意味は各自ググってください。


・カメラを止めるな!
うーん、世間で騒がれるほど御大層な映画でもないと思うんですよね…。
オチも最初のほうである程度透けて見えたし、ラスト30分はそこそこ楽しめるんだけれども、そこに至るまでの1時間がわりと苦行。
何度も途中退席しようかと思って、我慢するのが大変でした。
「制作費がたったの300万円です!」っていう部分でだいぶ下駄をはかせてもらってるんじゃないですかね。
それに300万って、スタッフが100人いたら日当1万としても3日で消し飛ぶ額でしょ。
相当の割合で手弁当やら差し入れやら無料奉仕がされてるはずで、あんまり美談でもないんじゃないのと。
翻って日本映画界がデカい制作費をつぎ込んで大作を作ろうとしないのは、10億ぶっこんで出来上がったのがそびえ立つクソデビルマンというトラウマがあるからではなかろうかと邪推してみる。
もうちょっと真面目にいうと、大きな金額を動かすのがヘタクソというか、そういうテクニックの蓄積がないというか、そんな感じじゃないですかね。


未来のミライ
vaffanculo!
途中で席を立たなかった自分の忍耐力をほめてあげたい。
脚本がvaffanculoで、主演の上なんちゃらいうのの演技もvaffanculoで、演出の点でも時をかける少女から何一つ進歩も見られず、見もせずにあれこれ言うのもよくあるまいと思って見に行ったけど、vaffanculoとしか言いようがない。
ショタがケモショタになりました!→それだけ、過去を見てきました!→それだけ、未来を見てきました!→それだけ、って全然それぞれ絡んでなくて、「それ、ただこんなシーンを描きたいですってだけやろ、こんなセリフ言わせてみたいですってだけやろ」って感じ。
それじゃ脚本・お話になってねえよと。BTTFの爪の垢を煎じて飲んでこいと。
隣で見てた割と歳のいった家族連れは「安定の面白さだねー」とか言ってたので、幼児がむずかってるのをケタケタ笑って見てられるようなお幸せな家族の記憶がある人たちにとっては子育てあるあるネタのいい映画に見えるのかもしれない。
だけど、自分が子供だった時に、たとえ子供らしい理不尽さやわがままであったとしてもそうするしかなったもどかしさみたいな記憶があったら、主人公のショタに対するあんな扱いや物言いを見て笑ってなんていられないし、私としたら黒歴史をほじくり返して塩をたっぷりなすりこまれたみたいな不愉快極まりない映画でした。
そもそも、サマーウォーズもそうでしたけど、細田氏が描いているのは「家族の絆」じゃなくて実のところ「家族のディスコミュニケーション」に他ならないでしょ。全然相互理解なんかしあってないじゃん。
それをラストに無理やりお仕着せの紋切り型の「家族っていいなあ」的なまとめ方するから腹が立つ。
今後細田氏の映画を見に行くことはなかろうと心に誓った映画。