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映画の話など。

ライオンキングとかヴァイオレットエヴァーガーデンとかアイアンスカイ第三帝国の逆襲とか、いくつか見てたんですけど、それは置いといて今日は新銀英伝の第1幕。

 

旧作と比較されることは続編、リメイクの宿命であり逃れられない定めなわけですけれど、まあ言っちゃ悪いけど旧銀英伝の出来の悪いコピー、劣化版だと思いました。

そもそも旧作がセルアニメの爛熟期に生まれた作品であり、「銀河声優伝説」と呼ばれるほど贅沢なキャストによって演じられ、オーケストラによるクラシック音楽が華を添える作品なので、超えるべきハードルはめちゃめちゃ高いんですけれど、リメイクする以上はそれを越えていくことがどうしても求められるわけで、それを果たせてはいないねって感じ。

 

細かいことを見ていくと、銀英伝ってめちゃくちゃ会話シーンが多い作品で、それだけにカメラワーク、カット割り、テンポやリズムということが非常に重要になると思うんですよ。

声優の演技の点でもやはり見劣りがして、特にヤンの気の抜けた感じとかラインハルトのとんがった感じとかいまいち出てなくて、単にイケボ出してるだけだろそれって感じ。

また帝国貴族の貴族っぽい感じもない。クイーンズ(キングス)イングリッシュとかオックスブリッジアクセントとか、日本ならお公家さん訛りとかがあるように、貴族には貴族のしゃべり方ってのがあるわけで、そういうのをもうちょっと意識してほしいなと。

また先に書いたように会話のテンポの点でもなんか一本調子で、例えるならば名人の落語のような緩急が感じられないんですよね。

そういうところが本当に見劣りするというか、旧作の声優陣はホントに上手いんだなあって思いました。

 

演出、美術で特に気に入らなかったのが服ですかね。

まず帝国貴族の服装。

旧作のような中世貴族然とした服装ではなくて現代のスーツベースに変わったわけですけれど、スーツの描き方がてんでなっちゃいない。あちこちしわくちゃやん。

金正恩第一書記やトランプ大統領の服を見ればわかるように、あれだけ崩れた体型であっても身頃には全くシワがないのがいいスーツなんですけど、貴族のスーツがダボダボで後襟はくしゃくしゃで、なんてあまりにひどい。

また軍服もしかりで、旧作では自由惑星同盟軍はジャンパー的なちょっとダボっとしたスタイル、対して銀河帝国軍はシュッとした軍制服タイプだったでしょ。

新のほうで特にひどいのが自由惑星同盟軍で、新しいデザインはピーコートっぽくシュッとさせようとしつつ、なぜか旧のダボッとした感じをだそうとしてるすごく半端な感じで、つまり「お兄ちゃんのおさがり」状態。ダサい。めちゃダサい。シュッとさせたいならシュッとさせんかいな。

銀河帝国軍もなんかあちこちシワシワダボダボで軍人さんらしい精悍さが全然出てない。

現実の軍事パレードの制服着てる軍人さんとか記者会見での偉い将校さんとか見てもわかるように、やはりシワがなくて折り目がパリッとしててきちんとサイズが合ってるのが軍服らしくカッコイイスタイルだと思うんですよね。

幼帝エルウィン・ヨーゼフ2世玉座から勅令を発するシーンでなぜかノージャケットにベストと半パンというラフなスタイルだったのも気に入らなくて、天皇陛下が国事行為の際にいい加減な格好を決してなさらないように、そこはちゃんと正装させるべきでしょ。旧作ではちゃんとジャケット着用してたでしょうに。

 

キャラデザインも悪い意味で今風で、美少女動物園ならぬイケメン動物園状態。

新銀英伝に限りませんけど、ここ10年くらいのアニメ作品で小汚いオッサンとか老人とかを上手に描けてる作品てあんまりないよね。

老人って皮膚がたるんでだらしない感じのラインじゃないといけないんだけど、若いキャラと同じラインにちょっとシワ足しただけの感じになってるというか。

シワやたるみを作るべきでない服をそうして、そうすべき人物をそうしないというのはちぐはぐでしょ。

言い方悪いけど、みんな美男美女以外描けなくなってるんじゃないのかしらん。

まあよかったかなと思うのはミュッケンベルガー前宇宙艦隊司令長官ですけど、あれも言っちゃえば髭もじゃにして顔のラインが隠れるからそれっぽく見えるだけって気がしますね。

私が大好きなオフレッサー上級大将も髷なんか結っちゃって、それじゃ洒落っ気が出て野卑で獣性あふれる感じが減るじゃんよと。胸毛モッサーでアフロっぽいからそういういい味が出てたのに。

 

演出的な面で気になったのは、宇宙港から戦艦が飛び立つシーン。

宇宙港は旧作と打って変わって森林の中にあるんですが、そういうシーンなら戦艦の轟音や威容に驚いた鳥や動物が慌てて逃げだす的な演出があって然るべきかなと。

そうしないと、わざわざ森林を宇宙港に配する意味がないわけで。

 

とにもかくにも旧作が優れていた分だけどうしてもそういう粗が気になって仕方がない、それが新銀英伝の私の評価です。

 

思った以上に長文になってしまった…。